ヒヤシンス


 すっかり秋色に染まった道を歩いていた。
 足元を覗くと落ち葉にも色々な色があることに気づく。
 こんな事にも気が付かなかったのか。
 秋は徐々に深まってゆくのだ。
 
 最初から難しい言葉など要らなかったのだ。
 道往く人々が優しい挨拶を交わしている。
 こんなことにも気づかなかったなんて。
 とても身近に善と美が存在していたのだ。

 目の前のノートに何やら訳の分からない言葉が並ぶ。
 私はノートを燃やしてしまいたいと思う。
 或る詩人の詩集に目を通すと自分が恥ずかしくなる。

 簡潔に素直に生きたい。
 私の捩れた魂に息をそっと吹きかけてくれた人。
 そういう人を私はあえて友と呼ぼう。


自由詩Copyright ヒヤシンス 2015-10-10 04:52:43
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