想い
もっぷ

三丁目の彼は
四丁目の彼女を知らない

  こんなに
  想って、も

諦観を知らない彼女は
痛みをくりかえし
懲りずに
想うことをやめない

天も地も人も
味方をしない
一方通行

風にそよぐあの花は
なぜに
花であることを

よろこびと思えるのだろう


つまりは そういうことで
懐いてしまった気持ちには
誰も、何も、

立ち入ることはできない


自由が、
謳歌されることを
望んでいるのならば

あきらかな
失意を悟るべきだ


四丁目の彼女は
三丁目のバス停を使っているから

苦しみを背負うことになった
あるいは
日々をしるすことを覚えた

神の名を
(信じていないのに)
口にするようになった


有限のなかで
せいいっぱいの 生き方を
している

彼女は

出会いを図った神を
恨むことはしない
むしろ

捧げる祈りは感謝に満ちている


見守っていてくれるのが路傍の あの
梅雨どきの雑草

だけだとしても

幸がどれだけ薄くても
それでも

生きていて良かった と



生きていて良かった、と



自由詩 想い Copyright もっぷ 2015-10-10 03:37:58
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