立呑み屋
藤原絵理子


淋しさ悔しさを 酔いで溶かして
くすんだ裸電球に 大声で話しかける
焼き鳥の煙で 茶色くなった品書きは
扇風機の風にめくれ上がって 読めもしない


いろんな失敗をして 涙も流れたけど 何も
残らなかった 心の手の中は空っぽのまま
夕暮れに行き場を失った 人々が溜まってくる
明日に繋がっている 疲れを腰に引きずって


傍観者のつもりでいたあたしも
いつの間にか 胎内佛のひとつになって
同じことを求めて ビールの苦さを


暗闇の彼方に 瞬いている かすかな
光を頼りに帰っていく 千鳥足も覚束なく
ゆーらゆら 黒い鞄を揺らせながら


自由詩 立呑み屋 Copyright 藤原絵理子 2015-10-08 22:22:32
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