死を待ちながら
そらの珊瑚

待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ

たとえばそこに
いつ、とか
どこで、とか
具体的な約束が存在しているのなら
それが与える苦しみは
ひと羽くらいはうすらぐだろうか
それとて
すべての約束が
ただしく遂行されるとはかぎらない

いつ、は
いつか、になる
どこで、は
どこか、になる
今日は来ないが
明日は来るって?
だけど私はそいつの顔すら知らない

無人のエレベーターが開く
乗り込むのは私ひとり

余命を知らせるなんて
なんと傲慢なのだろう


自由詩 死を待ちながら Copyright そらの珊瑚 2015-10-05 08:35:58
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