とおりぬける隙間
e R i

手を繋いでいた記憶なんて、
思い出せないほど遠い昔の出来事だと
5個になったピアスホールの
完成しないぐじぐじを指ですくいとって
湿った指先をそっとあの頃に突き刺しておもう

掌の隙間は、じっとりと、していて

二人の間を埋めるのは、湿った空気
それはとても熱っぽくて
くっついていないと冷めてしまいそうな
アップルパイがどろり、と溶け落ちるから
乾いてしまわないようにと
すくいとったぐじぐじを
あの頃の二人に分けてあげる

手を繋いだ記憶なんて、
君以外のは思い出せないほど乾いていたんだと
5個になったピアスホールの
完成しないぐじぐじを指ですくいとった
君の指先で思い知る

指を握るアタシの掌は、じっとりと、していて


自由詩 とおりぬける隙間 Copyright e R i 2005-02-15 21:17:52
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