虚構
瑞海
海の青は虚構
掬っても透明
僕らは
海と少し溶けた
白い壁の内側で
生きてゆく
「たまに夢を見るの
黒いふちどりの報せが届いて
涙で海ができてるの
君が死んだら悲しいな」
夢の中で微笑む彼女は
どこかの草原に立っていた
自分の幸せを願うと
他人の不幸を願います
だからだから
私からの最後のお願いは
彼女の願いを叶えてあげてほしい
ということです
計り知れない思いを
抱きしめてあげてほしい
ということです
決して彼女の手を離さずに
壁の外のあの草原に
連れて行ってあげてほしい
ということです
そうして
私のことは
忘れてほしい
ということです
あゝ哀しからずや