虚構
瑞海

海の青は虚構
掬っても透明
僕らは
海と少し溶けた
白い壁の内側で
生きてゆく

「たまに夢を見るの
黒いふちどりの報せが届いて
涙で海ができてるの
君が死んだら悲しいな」

夢の中で微笑む彼女は
どこかの草原に立っていた


自分の幸せを願うと
他人の不幸を願います

だからだから

私からの最後のお願いは
彼女の願いを叶えてあげてほしい
ということです
計り知れない思いを
抱きしめてあげてほしい
ということです
決して彼女の手を離さずに
壁の外のあの草原に
連れて行ってあげてほしい
ということです

そうして
私のことは
忘れてほしい
ということです



あゝ哀しからずや





自由詩 虚構 Copyright 瑞海 2015-10-03 21:21:31
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