うつくしい うんこ
るるりら




その日は
お花見の桜より うんこの話のほうが 
うつくしかった
お隣さんが用意してくださった花見弁当を囲んで
いっしょに 盲の方と お花見をした
お洒落な桜色のスカーフを巻いておられて
そんなものは その方に見えるはずないのだけど
それだけで ご家族に 愛されておられるのが
わかった

ずっと 義理のお母さまの下の世話を
してこられたのだというお話だった
全盲の方が 誰かの下の世話をするとは 一体どういうことだろう
「それがね においや勘で それだけは
わかるものなのよ」

新聞紙に 
こーやってね
あつめてねえ
鼻を
こんなふうに
なるだけ ちかづけてねぇ

純心に頬を赤くして
空気をかきあつめる仕草をしながら
話すのだった たのしそうに
すっかり お婆さんのはずの その方の
少女のような ほほえみ 
彼女は、さくらみたいに 言ったのだ
「すきだったのよ あの しごと」

ほほえみは 光り輝き
すべてのことがらが みえない色彩が鮮やかに
躍っているのを 私は感じた
彼女の話を聞いていると、 私にも 確かに見えたんだ
うつくしい うんこ が


それにしても
うつくしい ほほえみ が


自由詩 うつくしい うんこ Copyright るるりら 2015-10-03 12:20:06縦
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