痛み
眠り羊

イラク戦争で
子どもを連れた現地の女性が
米軍に向かって
手榴弾を取り出したとき
米軍の狙撃手が
彼女を撃ち殺したことは
正当な行為
なのだろう

狙撃手が
自分は同胞のために戦っている
相手は野蛮で卑劣な悪魔だ
と言うことも

そう思わなければ
瞬時に判断して
射殺することはできないだろう
という意味において
理解できる


しかし
その現地女性の姿は
70年ほど前の日本人の姿に
いささかなりとも
重なるところはないだろうか

彼女はテロリストで
自分たちとはまったく違うと
迷いなく言い切れるだろうか


集団的自衛権が行使可能な状況下で
そこに自衛隊員がいたならば
自衛隊員も
彼女を射殺すべきということに
なりはしないか


それが
日本のすべきことなのか


私の心の中には
違うと言う声が
こだましている

理屈よりも
心が
違うと叫んでいる


積極的
平和主義
なるもので

守りたいものは
何?



自由詩 痛み Copyright 眠り羊 2015-10-03 00:17:22
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