未来
千波 一也



ぼくたちは
いつの間にか忘れてしまっている

今日という1日が
かつて、はるかな先の日だったこと

ぼくたちは
いつの間にか忘れてしまっている

明日という1日が
やがて、過ぎた日々へと変わること

いまはまだ
描くことしか許されず
もしかしたら、描くことさえ
許されなくても

途方に暮れて
まったく望みを絶たれても

いつの間にか
たどり着いている場所が、ある

そこを
未来と呼び得ることを
ぼくたちは忘れてしまっている

ほほ笑み合っているだろう、も
ほほ笑み合っていただろう、も
すべては同じ通りみち

ぼくたちは
ぼくたちに託すほかないことを
いつの間にか忘れてしまっている

たどり着き得ぬ場所から
たどり着き得ぬ場所へ
渡りやまない手紙

ぼくたちの誰もがこころ当たる
懐かしさや、恥ずかしさ
恨みつらみや、あたたかさ

どれが欠けてもならなくて
どれが悪いも良いもない

それが、
それだけ、が
ぼくたちの受け継いでいるはずの
未来

失うすべのない、未来







自由詩 未来 Copyright 千波 一也 2015-09-30 12:58:26
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