妊娠するランナー
非在の虹

子供という子供の
誕生の胡散臭さ
ったらない
しばらく田園風景を走れば
必ず男どもに会うが
あのバカバカしさったら
ない
それだから孕むのだ
微笑むランナーは
凝り固まった睾丸の確認を
変速する前におこなったらどうだ
ささくれた指で
壺を触るのはよせ
誰もいない時代の胎児が
眠っている
42.195キロメートルも走れば
この腹の膨れようはどうだ
速度を感じるね 胎児
時間の変化と空間の変化の関数の意外性に
誕生する子よ
こっそり「母親」を笑うがいい


自由詩 妊娠するランナー Copyright 非在の虹 2015-09-29 20:36:32
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