飛ばないウサギ
ユッカ

バラバラになった林檎
ウサギにして
大きな耳で飛ばしてあげる

「可愛いだけのあたしのこと
可愛いって言ってくれてどうもありがとう
どんなに耳を大きく切ってもらっても
あなたの言ってることは未だによくわかんないけど
でもこのからだ中の赤色が
あなたの好きだって言う
夕焼けだったらいいのになって
たまに思うし
まあ思ってるだけだから
これはただの願いごとなんだけど
これ以上なくあなたのためになっているような気がするんだよ」

誰かに優しくしてしまえば見返りを求めてしまうから
飛ぶことのできないまま落ちた林檎のように
渡されることのない愛くらいが
食べごろで
とてもおいしいと思う
わたしは今日もウサギを食べる


自由詩 飛ばないウサギ Copyright ユッカ 2015-09-25 01:34:14
notebook Home 戻る  過去 未来