秋彼岸
藤山 誠

横になって居眠りしていると
コオロギがひりひりと鳴いている
その音を聞いていると
白いシャツ一枚では肌寒くなってくる

真っ暗な外の闇に
確かに広がる草むらは
夏に汗をかきすぎて
少し緑が褪せている

冷たくなった葉っぱから
少しずつ散っていく
冷たくなった虫から
少しずつ死んでいく

まだ埃っぽい毛布にくるまって
私はシチューの夢を見る
パンと毛布と暖房と
この夏最後の長い雨の夢を見る


自由詩 秋彼岸 Copyright 藤山 誠 2015-09-24 03:06:57
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