海月
瑞海




とても悲しい気持ちに
なった時が前にあって
そこから海を求めるようになった

波の音を聞いて
潮風の香りを感じ
一粒涙を流したら

気がつけば
海に浮かぶ
海月になっていた

動揺するどころか
心が落ち着いていた
冷たく染みる海は
私の還る場所であったと思った

体を水に溶かして
ふわふわと過ごす毎日
ある日の夜
海月の私とよく似ている
満月を見つけた

どの星よりも
あの温かい黄色の光に
惹かれていた
似ているから、とか
黄色だから、とかじゃなく
なんとなく
なんとなく

それに満月になると
大潮になって
もっと近づける
手が届きそうなくらい
でも届かない 届けない
私は海に還る
空には浮かばない

気づけば
あと半年の命
半年したら
あの月も見えなくなる
そうしたら
この気持ちも
忘れてしまうのだろうか

最後の夜は曇りだった
だからお別れも出来ず
あの黄色を思い
溶けるだけだった

私たちの子どもは
私たちを足して割ったものだから
黄色の海月に
なるのかな

そうだといいな
またあなたに
会えるといいな


自由詩 海月 Copyright 瑞海 2015-09-21 00:00:47
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