怪獣がすきだった
千波 一也
怪獣がすきだった
一生懸命に敗北へと向かう
その信念がすきだった
破壊される街も
逃げ惑う住民も
どうせフィクションだから
心配には及ばない
それなのに
怪獣の優勢が劣勢へと移行すると
それがお決まりのパターンでも
どうせフィクションでも
不憫でならなかった
ぼくは
どんな大人になれたかな
ヒーローだなんて柄ではないし
悪役に徹するほどの美学もない
怪獣がすきだった
ただそれだけは確固たる足あとで
疑いようもない信念だ
自由詩
怪獣がすきだった
Copyright
千波 一也
2015-09-20 12:31:55
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