九人の野口
もり

なぜいつも九千円しかおろさないんだ?

おれの問いに 長谷は

枚数が多いほうが安心するだろう?

と、九人の野口英世を
見つめながら
得意げに言った
そうやって
笑い飛ばせたあの頃

郵便局を出たおれは
もはや九人の野口英世ですら
心細くなってきて
遠くアフリカの大地へ
心だけでもと逃げてみるけど
たちまち
ジープに乗ったハンターたちが
やってきて また だめだった


来月 長谷は車を買うという。


自由詩 九人の野口 Copyright もり 2015-09-20 08:15:31
notebook Home