墓石の幻想郷/即興ゴルコンダ(仮)投稿.72
こうだたけみ

引きずっている。長く長く後ろに。それは影とか
裾とか後悔とかそういった目に見える見えないに
関わらず集められたあるいは集まったものたち。
だから、走れないし跳べないし踊れないしアタシ
大地に張り付いたまま方向転換さえままならない
ふわり、軽やかになりたいのにお彼岸だお彼岸だ
お盆にはもう何年も帰ってないからお迎えしよう

ジイサンバアサンコノアカリデオイダレオイダレ

それなのにぐーぐるあーすは田舎のお墓を素通り
するどの道を折れたら辿り着くかわからなくなる
ぐるぐる迷子、なんて此岸と同じねどうしようも
なく帰れない帰り着けない墓は、敷石みたいなの
まであって踏んだらだめだって怒られたのだった
幼いころ墓は、雑草は生えるに任せて蝉の脱け殻
がくっついていた墓は、水をかけて見よう見まね
でよくわからないままに手を合わせた墓は、集落
の裏の小さな山を覆うようにして作られた墓は、
知る人も知らない人もそこに眠っているんだろう
か墓は、蛙と蝉の鳴き声のなかでシンとしている

ジイサンバアサンコノアカリデオカエリオカエリ

ただいまって言う人が、いるだろうかアタシには


自由詩 墓石の幻想郷/即興ゴルコンダ(仮)投稿.72 Copyright こうだたけみ 2015-09-16 21:03:51
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