夜へ 礫へ
木立 悟





薄くうつろうもののかたまりが
轟々と夜のはじまりをゆく
剥がれかけた
光の重なり


見えたり消えたりするものが
左側をしたたり落ちる
布や布状のものすべてが
四角い灯りにゆらめいている


夜が夜を折りたたみ
他人が作った曲ばかり
美しく奏でる人々が
巨きな隙間に埋ずもれてゆく


すぐに消える泡たちの
影だけが残り 重なりつづけ
水面は暗い輪に満ちる
穴のあいた灯に満ちる


受動的な夜の生きもの
雨の後を追う声の主
水たまりを結ぶ長い尾の先
夜に触れる無数の指


径に積もる光の径
街に重なる水の地図
切れない鋏で切ってゆく
小さな小さな
暗い鉱の降りそそぐ夜






















自由詩 夜へ 礫へ Copyright 木立 悟 2015-09-16 03:13:05
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