舞い (四行連詩)
乱太郎
独房の堀で羽を休めるアゲハ蝶
憐れみの蜜を吐き出す
黒い光沢に光りが反射して
影だけ先に飛んでいく
十七歳の部屋では少女が
明日を憂えていた
それでも敏感に影を捉えて
不意に彼女にアゲハ蝶の瞳が宿る
複眼の宝石
光沢が増していく窓の外
少女の皮膚からは黄金のような粉末
十七から二十への舞い
――其処との永訣を悟り
其処からの脱皮を終えて――
彼女を待っていたのは君だった
生まれたての永遠に祝福の柔らかな風が
自由詩
舞い (四行連詩)
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乱太郎
2015-09-15 20:26:12
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