甲
はるな
そんなにだいじなことが
あるだろうか
陽に透けている髪の毛や
ひびくように聞こえてくる帰りみちの子どもたち
なにかの秘密くらいちいさな爪のいちまいずつ
写真集にかぶったほこりのおどるところ、
あたたかい胸のくぼみ
夕暮れのいちばんおわりの紫色
掌を外側にむけながらあわせると
地球一週分を旅することができる
一日の
ちょうどはじまりとおわりをくっつける
そんなにだいじなことがあるだろうか
いとしい、たくさんのもののまえで
捨てられないことなんてあるだろうか
自由詩
甲
Copyright
はるな
2015-09-15 16:30:07