触れる日々
かんな





人さし指を立てた
葉っぱが一枚落ちて
世界をスワイプした
時間が背負うことばの数々は膨張し
夕日に反転する夜空に
詩人という雨雲を生んだ
滴が重力に逆らって上昇する
歴史はのちになってつくられ落ちる
生まれたわが子を抱きしめた
言語を覚えれば綴るだろう指先
将来という曖昧な選択の集合の中
含まれた漠然とした意味を
すべて蹴りだして疾走する
たった一人を愛することの困難さ
理解という名の迷路
もう目の前に季節は乱舞して
移ろいやすい現在をはかる
伝えるという不可能な手段を以て
もう一度人さし指を立てる






自由詩 触れる日々 Copyright かんな 2015-09-15 14:41:52
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