ささやかな羽音
千波 一也


夏のおわりの
アスファルトのうえに
蜂がひとつ
死んでいた
もう、
怖くもなんともない有様で
蜂がひとつ
死んでいた

この蜂の持つ毒針は
柔肌に痛みと腫れをもたらすに十分で
甚だ脅威であるけれど
それは
生命を有してこその脅威である
つまり
生きるということは
脅威にほかならない、ということであろうか

夏のおわりの
アスファルトのうえで
わたしはおもう
わたしの毒針について
その
脅威について







自由詩 ささやかな羽音 Copyright 千波 一也 2015-09-11 01:35:25
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