飛んで火に入る…
イナエ

炎に出合うと体が勝手に近づいていく

この習性を
人間に気付かれたのはいつだったろう
夏の水田に灯火が点いて
人が居るかと思えば炎だけ
どれだけの仲間が焼け死んだことか

人間にも似たような習性があって
人や物の醸し出す雰囲気に
頭の深くで警鐘がなっていても 
誘われてしまうことがある
だけでもないようだ

好感度を醸し出す人や物に
ついフラフラとなってしまう感性
怖い物見たさの好奇心 
危険を乗り越えたい冒険心 野心
その奥深くに優越感が隠されていて
虎穴に入らずば虎児も得られず

嫌な臭いは危険だという感性に逆らって
最初にチーズやクサヤを食った人
一体どんな思いがあったのだろう

危険から安全を取り出した遊園地の
ジェットコースター バンジージャンプ
恐怖を楽しむお化け屋敷
これらの醸し出す魔力(フェロモン)に
取り付かれた人間たちの行列

本能は死んだと言うが
鬱積するストレスに理性が失われたか
異性にすり寄る下半身の習性
ああ 飛んで火に入る人間どもよ


自由詩 飛んで火に入る… Copyright イナエ 2015-09-09 11:02:02
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