玩具
草野春心



  玩具は既に壊れており
  木張りの床に見棄てられていた
  夕陽から親しげな香りが溢れ、
  窓辺に置いた花瓶に纏わりつく
  私たちは 壊れていた 跡形もなく
  そもそもの使いみちもわからないくらい
  そうして あなたの睫から
  涙は落ちてこなかった
  ただ一つとして




自由詩 玩具 Copyright 草野春心 2015-09-06 21:59:23
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