苔の精
藤鈴呼



翠の赤子がぶら下がっている
そう思い シャッターを切った

もこもこの身体は 温かろうもん
今日び ブームを迎えている 
ゆるキャラの仲間入りを
お前も 果たしたいのかと問えば

否と言う心が 否妻のように 
幹の上から響いて踊る

揺れる風の心地良さ
目の前に有るものに 
気付かぬあざとさ

スタスタと歩を進める 若者達
笑い声が響く 境内

ミシミシと 鳴る階段
面白いものに 見える 文様

踏み締めて歩けば 
気付かぬ内に 優位に立てる?

お前は 本当に それで 倖せか

葉の隙間から零れる光に
何を 託そうぞ

明日の 由無し事
未来の 四方山話

昨日の 良し悪し毎ならば
直ぐに 忘れられるから

元気 出して
唇から 零れる 適当な相槌を

幹の樹液に
そっと 溶かして

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 苔の精 Copyright 藤鈴呼 2015-09-06 21:33:32
notebook Home