カウントダウン/今日は俺の誕生日
たけし

あなたは
逝ってしまった、
三十年前の来月今日
永遠に
永遠に追いつけない
のは
だから解っている

けれど、

この願望は濃くなる
ばかり
この思いは想いは
オモイ

年老いて
すべてを失い
そうして魂は生々しく
苦痛の洗礼を浴びては
いっそう生々しく
追いかけているんだ
あなたを



アナタの全貌など知らない
アナタのスキームの
白き衣の透明な一端に触れ
天を仰ぐ俺はまた
アクマの情動に憤怒に駆られ
ながら
なんとか自らの傲慢を
明け渡そうと晒そうと
ただただ足掻く

昨日朝の静謐
流れいく白雲澄み
不断に不意に臨在する
あなたのアナタの愛に光に
秋風に吹かれながら
ふと襲われひざまづく



アナタは永遠に無限の愛の主
私は永遠に孤立無援の徒
垂直の距離、埋めがたい距離

水平な、再愛のあなたさえいてくれれば
まだ我慢忍耐も持続するものを

この肉の苦痛発火苦痛
脳味噌を一突きにしてやろうか
殺ろうか!

(俺という人間は

外的掟や戒律を承認し解放されるには

余りに過剰な内的体験の謎に満ち

そうして

内的信頼を裏切られた傷を負い過ぎている)

さっき赤坂警察署から掛かってきた電話は何だ?

どいつもこいつも
公権力に訴えるのが大好きなんだな、
自分は姿を隠し
この素っ裸の俺に



なあ神さんよ

深い直観による認識を
深い愛による感情を
深い極みの創造を
雷鳴の如く響かせろ
今一度!
このいよいよ骨組みだけになった
荒ら家に

いっそう激しく混沌と


自由詩 カウントダウン/今日は俺の誕生日 Copyright たけし 2015-09-05 17:15:17
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