星形の指くくり
崎山郁
昼会った友人と
朝まで一緒にいた
夜 ベッドの中で
(お前さ、もし俺が今お前としたいって
言ったらどうする?)
と聞かれた
彼にしては珍しくもって回った言い方だった
私は
(勿論あなたと寝ることに関しては異存はないんだけど
今日はちょっと無理かなぁ、またこの次にしようよ)
と答えた それを聞いて
彼は
(奥さんっ!)と言って私に抱きつきかけ
私は
(だめだめ、肉屋さん、よしてっ)
と笑って答える
それから私たちはちょっと真剣に
自分たちの関係について話した
私たちは今すぐにでも寝なければ
というほど情熱的な欲望でもなく
するならしてもいいというほどの
消極さでもなく
ただ子供みたいに胸を
期待にさざめかせて
ゆっくりと楽しみたいのだ
これは恋愛ではないよね、と
くすり、と微笑みあった
だけどいつか寝てみたいね
そう言って
額を寄せ合って
私たちは静かに眠る
数え切れないほど
たくさんの夜を過ごしてきた
友と二人
歩いてきた道の長さも
もう覚えていない
眠る間際
雪が降ったらいいね
そう言った友の
長い睫毛が
閉じていく
私は息を飲み込んで
毛布を引き寄せた