萌えて悶えて
ただのみきや

あんた証明したい
なんにも 
嬉しいね卵持ってかえりなよ
釘打ってごらん釘
ぎったんばっこん傾いて
地球も発泡してら
ああ君ら目から艶墨ちろちろ流すが
猫がしどろもどろだね
あんた主張したい
なんにも
染まり始めのナナカマドさ赦してよ
娘たち丁寧に歪むから
起爆装置のデコレーション
嫌だね憚ることなんてまるでなく
視線で刺す通り魔みたい
雷に打たれちゃって
脳天から痺れてお化けが歌ってら
蛍火狐火ふわっと舌に遊んでる
ほらまた青い隠語で誘ってやがる
わるい子ほしい
花いちもんめ
そんなに息せき切って
さらけ出さなくてもいいのに
秘密ノートにはね
蟻が渦巻いて喪服みたいに流れてる
靴は脱いだり履いたり構わない
秘蹟は期待しないで
何か温かいもの食べればいいさ
蝙蝠のスープ
お芋も入れてね
おまえいつでも季節が螺旋に絡まって
キリギリスの触覚がそっと伝えても
すまあとふぉんは牢獄だ世界の粗悪品の
ああ真っ赤な闇が唇を塞さいでさ
バナナの癇癪が破裂したよ
残像が散らばった星のテーブルで
しろい指切りのかたち
それが肉体の全て
なんてナンセンスなセンテンス
セメント漬けの砂糖漬けで
しゃぶしゃぶ洗って
気の弱い背中から血を吹いてさ
フランケンシュタイン 
感電したんだね
きみは言葉をぺらぺら捲るんだろう
だから竹とんぼの刑
小さな善意の拷問と愛の抜き身の殺意が
縺れることもなくコーヒーを飲んでいる
下着もつけていなかったねぼくら
蛇が死んだの言いたげな過去が腹を裂いてね
沈みながら笑ったんだ
あの朝僕たちの死体に黄金虫が群れていたっけ
君の最後の虚勢がビニールみたいに飛ばされて
目も耳も口も
無垢な幼虫だった
きっと太陽の供物になるんだよ
声がドアの隙間からそっと覗く
顔がピザみたい
苦役を演じるダンサーたち
田園の空に鋤を入れる戦闘機の一斉掃射
案山子よ案山子よ案山子さん
自由の末期症状です
あんた延命したい
すこしも
時代について何も語らないまま
ぼくは絡みつく
愛に擬態する
耳鳴りを頼りに




           《萌えて悶えて:2015年8月19日》








自由詩 萌えて悶えて Copyright ただのみきや 2015-09-02 21:00:55
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