鈴へ 虚ろへ
木立 悟





夜つかむ指
蒼に凭れ
曇の前の穴
はざま過ぎる鳥


引きちぎるたび
生まれる渦
一点に吊られ
回る星座
夜の裾を浸す銀


すべての星が鈴に鳴り
朝も昼も遠く止まない
夕べに至りなお止まず
次の夜に重なってゆく


ふらふらと灯は無言に走り
降りつづける鈴の音を燃してゆく
灯の高さの炎の帯が
燃え残る音のなかをはばたいてゆく


指があけた穴は増え
過ぎる鳥もまた増える
音は川を流れゆく
土から夜へ
星を渡す樹


蒼は赤に 銅は赤に
隣り合い絡み合い指を伝う
炎が空を覆う合い間を
音はこぼれ 降りつづく


空は碧く
ときおり朱く
はざまに銀を
穴に鉛を敷き詰めながら
低く低く
奥へ奥へと遠のきながら
幽かに幽かに鳴りつづけている



























自由詩 鈴へ 虚ろへ Copyright 木立 悟 2015-08-30 08:36:10
notebook Home 戻る