太陽のアイス
藤鈴呼
沈みかけた夕陽を
ゆっくりと 眺めてる
これに 出会いたくて
猛暑の中 出掛けた 海岸
なんて 仰々しい
何て せわしない
こんなにも 近くに 有ったこと
普段は 忘れてる
以前は 過敏だった 鼻も
いつかの 一輪ごと
花瓶に 差して しまったのか
もう 疼かない
海藻の 香りも
切ない 回想も
起こさなくなった 海の代わりに
飛沫は 起きる
波の WAKE UP
そろそろ 時間ですヨ と
釘を 刺すかのように
誰かに 後ろ指
誰かと 後ろ背に
ゆっくりと ハミング
ねえ みんな
これを 楽しみに
生きて いるの
冷たい 生ビール ばかりじゃあ
話が 盛り上がらないんでしょう?
橋を渡る時にはね
何時だって
斜め上を 見やるの
仕事帰りの ドライバーも
学生の サイクリングも
ごったまぜにして
小さな 山の端で 踊る
ねえ ここに
新幹線が 通るように なるんですって
へえ
素敵だね
ねえ
華麗だね
皆の 歓声が 聞こえる頃
橋が すっかり 完成する頃
もう 私達は
ここに 居ないけれど
願おうか
あの
潰れそうで 蕩けそうな
一瞬の 舌触りを
妄想しながら
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