鮎は塩焼き、命は塩焼き
日々野いずる

骨の出た傘をさして晴天の空を歩いた
嵐はわたしを押し流して川まで来させた

川の様子を見に来たのよ
川の様子を見に来たのよ

川はすごくおだやかだったのよ
そうすごくおだやかだったのよ

わたしを流してくれないほどに静かで
釣り人が鮎を釣って
その鮎をわたしにくれたのよ
鮎は塩焼きなんてったって塩焼き
バリバリむしゃむしゃ食べてやって
命を食べて命に涙した

嵐が風を吹かせて
麦わら帽は飛んでおだやかに
川に抱かれていった


自由詩 鮎は塩焼き、命は塩焼き Copyright 日々野いずる 2015-08-26 23:18:12
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