テポドン
末下りょう



知らない人と話しちゃだめってお母さんに言われてから
ずっとテポドン飛ばしてる

知ってる人とうそ言いあって
悪気はなくて喜びあって
それはそれでラッキーなんだ

テクノカットは夏の終わりに斬りつける
テクノカットは夏の終わりに斬りつける

また僕たちを飛び越えて遠くの海に落ちていく
爆発なんて見えないよ
発射だって見えないのだから
ここからも、そこからも

テポドンなんて飛ばすだけ
寂しさと退屈を混ぜあわせて飛ばすだけ
裏切り者が消えていく
なに信じたかも忘れてるのに
こっちみて



きのうの雨に濡れた洗濯物
日が落ちるころ、お母さんの部屋からはタバコの匂い
きっとアイボンして未来的な僕たち


いつかの夕焼けの鳥の群れにテポドン 、
いつかの夕焼けの横断歩道にテポドンの影
見たのかもしれないから



あしたはいっぱいお金を手にいれて
シンガポールでずっと眠る
火の海なんて 僕にはそんな力はない

テクノカットは夏の終わりに斬りつける
テクノカットは夏の終わりに斬りつける

手のひらからヒドラジンの匂い
僕をつくる涙に僕はにじむ
枕を抱いてYouTubeがみてる夢をみる
それは グワッシュ




自由詩 テポドン Copyright 末下りょう 2015-08-26 22:27:35
notebook Home