闇の恋人たち
ただのみきや

胸のファスナーを下して
白い綿毛に包まれた
幼い夢の息の根を止めて
そうして入り日の燃え落ちる
血だまりへ
交わることで違え 
意味を失する言葉のように
縺れたまま ひとつの肉塊となり
青く濃く増す闇夜
漕ぎ出して
すべての営みから切り離され
恨みも 憎しみもなく ただ
獣が獲物の血を舐めるように
生は 死という虚ろを抱いた 
軟らかな箱
上手に開けてごらん
シャツみたいに裏返って笑う
おまえ黒い満月



         《闇の恋人たち:2015年8月26日》






自由詩 闇の恋人たち Copyright ただのみきや 2015-08-26 19:08:45
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