独りで過ごす夏の朝に
N.K.

アロエはなかなか枯れない

独りで過ごす夏の朝に
アロエに水をやった瞬間
水玉が肉厚のアロエの葉の上を転がる

里帰りをしたあなたは
この透き通った朝の真珠に気づいているだろうか
戻ってきたら聞いてみよう

芽は出たり出なかったり

今年は発芽の観察が宿題で
プラスチックのカップに
綿を敷いたその上に種を乗せる

霧吹きで水を挙げた瞬間
てかてかしながらウオーターベッドの上で寛ぐ子もいれば
背伸びして青い手を精いっぱい伸ばす子もいる

母親と一緒に里帰りしている君は
この屈託のないアイデンティティを面白がるだろうか

電話でも聞けることは聞けるけれど
戻ってきてからにしてみよう

子どもの時 夏に作った秘密基地を守るように
アロエの鉢や種をいっしょに囲む瞬間を
取って置きたいんだ


自由詩 独りで過ごす夏の朝に Copyright N.K. 2015-08-26 01:40:42
notebook Home 戻る