とけのこったすべりだい
Seia
スニーカーを脱いで
靴下を丸めて
砂に埋まる指は
すこし
つめたい
服は着たまま
視線はとおくへ
からまった滑り台が
何本もうねうね
バッグの底の
イヤホンみたいに
沖の方から
海岸線ギリギリまで
辿り着いている
わたしはいつか
ここにきたことがあって
すべったことがあって
とってもたのしくって
あのときあった
おおきなおしろが
すっぽりとなくなっていて
記憶のなかの
ちいさいわたしがとめどなく
塗装がモザイクになった
支柱の奥を
見つめ続けている
しばらくして
つめたさの角度が
変わったのは
潮が満ちるのと一緒に
時間がひざ下まで満ちてきたから
もうすこしだけ
ここにいたら
とけてしまうでしょうか
からだ
まるごと
こころごと