とけのこったすべりだい
Seia

スニーカーを脱いで
靴下を丸めて
砂に埋まる指は
すこし
つめたい

服は着たまま
視線はとおくへ

からまった滑り台が
何本もうねうね
バッグの底の
イヤホンみたいに
沖の方から
海岸線ギリギリまで
辿り着いている

わたしはいつか
ここにきたことがあって
すべったことがあって
とってもたのしくって
あのときあった
おおきなおしろが
すっぽりとなくなっていて

記憶のなかの
ちいさいわたしがとめどなく
塗装がモザイクになった
支柱の奥を
見つめ続けている

しばらくして
つめたさの角度が
変わったのは
潮が満ちるのと一緒に
時間がひざ下まで満ちてきたから

もうすこしだけ
ここにいたら
とけてしまうでしょうか
からだ
まるごと
こころごと


自由詩 とけのこったすべりだい Copyright Seia 2015-08-25 01:28:46
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