時代と
オダカズヒコ
僕らは梯子が欲しかった
やがて起こるだろう戦争に
発狂しないよう
小さな子供を昇らせる
剃刀に
血を走らせながら
三億年の未遂を窓から開け放つ
きまって麗子はバルコニーにいる
水銀のように身体を抱えこみ
頭部まで昇らせる
掌握された共有者が
自殺を従わせる太陽の下
受話器を取り上げながら
死んだ時のために連絡を取るダイヤル
きまってその顔は
初期社会主義体制下の
スターリンのような顔で
まるでムッソリーニに話しかけるように
あどけない緊密な会話を取り交わす
だが誰もがロボットとは違う
官庁オフィスのどの部屋にもかけられている
時代との癒合という鍵を回せば
僕や麗子の中に住まうアパートも
たったひと一人分の生活を支えるだけの国家さえも
今となっては
無いことに気づけただろうに