目的も無く
noman
滑らかな立方体のような冬の
空気の底に
淀んだ温もりを保つ夜が
一つの過去として納められている
スピーカーの周囲をゆっくりと
対流する誰かの声
契約が済むと
少し古い建物の
少し古い壁は 影も持たずに
伸び続ける
残したいものがあるわけではない
ので
瞬きはとても静かに
ゆっくりと行う
窓の下に沈もうとする景色
知らぬ間に
街からは随分離れていた
自由詩
目的も無く
Copyright
noman
2015-08-24 00:24:24