銀の生まれ
木立 悟





夜は爆ぜ
すぐにまた現われ
朝へ朝へあとずさる
雨に
種を蒔きながら


触れれば空に到く
咲かないものの履歴
指は水を編む
夜を高くする


何処にも行けない人々のように
報いばかりを夢みていた
樹々のはざまの闇を鳴らし
夜から生きものを遠去けた


水の音は満ち
糸を揺らす
ひらいた手で
夜を押しやる


海のにおいの水が
道端の草を覆い
見えぬものに触れ 土に落ち
暗い緑に散ってゆく


耳が重い
ひとつの方角
斜めの径を
照らしゆく空
常に行方を
見つめている風


虹の影が
霧を越える
理不尽と不条理が
銀の生まれを見つめている


こぼれつづけ
かがやきつづける
何処かに着けと
何処かに咲けと
願い刻み 遠去かる
雨に
種を蒔きながら



























自由詩 銀の生まれ Copyright 木立 悟 2015-08-23 09:02:08
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