沈黙の夏
瑞海



突然の雨
目指すは君
沈んでいる君を
助けるために

走っている最中に
君のローファーが
横断歩道に脱ぎ捨てられていたから
もう時間がない

いつの間にか雨は止んだ
今日は新月だ

君の血のついた
道をたどりゆく
赤いプールに立つ
真白の君がいた

氷のように冷たく刺す眼
ああもう手遅れだ
君はもう赤い夢の中

こっちにおいで、
と手招きする君に
いってはいけないのに
惹かれ 引かれ
手を繋いだ
と同時に
首を噛まれ
鮮血 絶叫

心は空っぽ
新しい体を
君も探さなくちゃ
君も赤い夢を見よう
私と一緒に裂けようか

プールに溶ける刹那
僕と君の小指が
赤い糸で
固く固く結ばれていて
鬱血していた




自由詩 沈黙の夏 Copyright 瑞海 2015-08-20 21:25:17
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