たっぷんタブレット
藤鈴呼




アンテナの関係で
携帯会社を変えた 若者たち

ピッチを速めて 歩く内は
周りの音に 気づかない

だから 傷つくことばかりが上等ですと 呟いて
何時まででも 肩をイカラセ 歩くのです

ピッチ・ピッチ
そんな風に 鳴り響く
小さな電話も 有りました

固定観念を かなぐり捨てる

電話は黒 
受話器に繋がる もじゃもじゃ線も
今は 遠い お話

張るアンテナを
どうやら 間違えた 模様です

あなたが 一体 どんな事を 考えているのかって
日々 めぐらすアンテナならば
こんなにも 丈夫だった 筈なのに

図太すぎて
繊細な 神経まで
受信不可能だったのです

ピッチ・ピッチ
似た様な 音させて
蛇の目傘が 開きます

水溜りを 歩いたら
ちゃっぷん ちゃっぷん

おや どうやら
贅肉が 笑った模様だ

美味しいお菓子を 食べたから
いいや 炭水化物の 摂り過ぎでしょう?

君は 何にも 分かっちゃいない
一番の 要因は 寝過ごした 事ですよ

食べて 直ぐに 横に成る癖
あんなに 治しなさいと 告げたのに

座椅子を 直ぐに 倒すから
ほら 診断が 下っちゃった
逆流性食道炎

今度は タブレットにしたら どうですか
幾ら オブラートに くるんだって
傷つく言葉は 減らないんだし

どうやったって 飲み込めぬ 錠剤は
効く薬とも 限りゃあ しない

ぴこん・ぴこん と
まだ 脂の少し残る指で
次の画面を 開いたら

美味しそうな 薬の飲み方が
載っているかも 知れませんヨ

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自由詩 たっぷんタブレット Copyright 藤鈴呼 2015-08-19 16:14:24
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