top of the worst
竜門勇気
クソの塊で出来た話を聞いていた
汚れたテーブルを挟んで僕は黙っていた
きみはクソを吐き出しおえて
真っ青な顔をして震えてる
そのざまを僕は眺めながら
自分が困ってるのかどうかわからない
全ての言葉は僕にとってもう口にできるものじゃないし
飲み込むなんて考えもできない
灰皿はポケットの中で折りたたまれている
その中で
タバコが数本腐っている
じゃあなにか?こうやって黙ってるのか
そういうやり方しかない
今日は誰かがどっか行く日
心のなかで一度うちに帰る
玄関を開けて靴を脱ぎかけて
ここが心のなかなので靴を脱げないことに気づく
ここじゃずっと裸足だったじゃねえか
心のなかで靴をはいた
心が靴をはいて帰ってくる
汚れたテーブルを見下げる
昨日ほどにはマシに見えていた
ケツの下でソファーがバネを弾いた
多分だけど、俺のケツの下で今、何かが死んだよ
深呼吸を挟んで言葉が出てきた
勇気も出来てきた
立ち上がった
そろそろ次のクソが俺に吐きかけられる頃だとわかったから
悲しい言葉はクソだ
最低のてっぺんだ
最低のてっぺんに立つと
何もかもが逆さに見える
待ってときみが声を上げた
隠している宝箱を見つけた気分だ
今度は隣りに座った
おれを呼んだ手を握った
きみの口からクソの臭いがする
ケツの下で何かが死んだよ
今度は言葉に出さない
今度は隣だ
逃げ場はねえさ
次に立ち上がるときは
クソまみれで帰るのさ
きみは黙った
ずっとそうしていて欲しかった
そうすりゃうまくいったんだ
きみはおれの目を見た
おれはその前から見ていた
少し戸惑ってむすんだおれの手を持ち上げてそれも見た
そしておれは逆さまで、クソだらけで、靴をはいて
心の外でうちに帰っていく
靴だけは心のなかまで持ち帰らなけりゃ
今度こんなことがあった時に
クソを踏んだ足で生きていかなきゃならなくなる