かぼちゃ
ガト

お盆に
死んだ父のお膳を作ってると
嬉しそうに母が何度も言ってたけど
何度も言い過ぎてるうち
かぼちゃが焦げた
台所で小さな落胆の声が聞こえる

私は父の写真を見上げて
「なあ、かぼちゃ焦げたらしいわ」と話しかける
母はそそっかしくて
昔からしょっちゅう煮物を焦がしていた
父の遺影が
今にも吹き出すんじゃないかと思った

今度は声に出さずに
「でも母さん元気そうでよかったな」って心の中で言った
写真は柔らかい笑顔で
ただ私を見下ろしてるだけだったけど
頭の中では生前の父の笑い声が
昨日のことのように思い出された


自由詩 かぼちゃ Copyright ガト 2015-08-17 20:14:47
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