漂う墓標
塔野夏子

あたりは仄暗い

無数の墓標たちが漂っている

言葉たちが 沈黙の淵へと沈み溶けてゆく

悼み 祈り 鎮め

どんな言葉も私は選び掬い取れない

ただ この沈黙の淵から

いつか何かがしずかに浮かびあがるのを

待つ それならあるいは

できるかもしれない

いずれにせよ 私は此処に居る

あたりは仄暗い

無数の墓標たちが漂っている





自由詩 漂う墓標 Copyright 塔野夏子 2015-08-15 11:32:07
notebook Home 戻る  過去 未来