ある夜に
ヒヤシンス
時の流れの中で死が私に追いついている。
断崖絶壁の孤高の歩みを禿げ鷲のように天高くから狙いを定めている。
動悸が激しくなる、呼吸が出来ない。
夜が私の運命を量りにかけている。
何錠もの薬を飲む間に死が私に襲いかかる。
だから私は薬をまだ飲まずにいる。
いつから私は時を恐れるようになったのか。
死が私に追いつく段になるまでに。
時間がないのだ。時間が足りない。
遠くで私の眼球を覗き込む禿げ鷲に私はどう映るのか。
寂しげな顔で私を見つめるあなたの目には?
私の寝床に死がへばりついている。
窓を思い切り開くとそこには遠く地面がただ広がっている。
在るもの全てが私に手招きをしているようだ。