ケツカッチン
nemaru
電車のドア窓から行く方ばかり見てる。もし後ろを見てるひとがいたら、それはそれで「なんなんだろう」と考えてしまう。運んでいる。ひつまぶしの成り立ちを思い出す。ひとはホットなまま冷めてることができる。届ける。家路から続くオセロが、黒にひっくり返りながらパタパタパタと追っかけてきて、さも今までが白だったかのように錯覚する。どうせ嘘だろ。灰色がかった雲間からさす黄色い光が大阪のビルに降り注ぎ、乳首のように憂鬱に見える。イッツァビッグシティ。ホーガンみたいな男が耳元でささやき、イッツァソニーもついでにいわせる。そうでなきゃいけない。このままモード学園にでも行きそうだが、それは彼等。名もないアパートの住所は嫌いだ。番地の線を「の」と読む所がたくさんあり(にのにのいち。にのにのさん。いっせのでに)階段があるのはうれしい(だいたいそこでオセロは途切れる)。空気で空気して空気した部屋。縦を横にして縦になって帰る。それがもうめんどくさく感じられ、ついえたところにまだ闇があり、もうやめてほしい感じのしっぽが生えている。正しく髪と骨とあれ。の次におっきなもの。言わずと知れたふたりのお尻が同時に硬くなり、アメリカンクラッカーのように勢いづいて鳴り始める。ビルの上でかっちん。雲の上でかっちん。窓から見る遠くの空。アパートから見る曇り空。遠くのほう。