自己所有権
陽向∮

手を伸ばせば届きそうな位置に一つの星がある。しかし手を伸ばしたら、なぜか手がつることばかり恐れて、結局どの星だったか、見失ってしまう。
探しあぐねて、必死に色んなところへ手を伸ばす。そうすると、ほんとうに恐れていた事態に陥るのだ。

そうして、何を求めるでもなく、一体自分でも何か分からないものを求めようとしている。充実と云うところだろう。
決して背中を押さないでくれ。きっと泣いているのだろう。自分でもどうすればいいのか分からないのだ。

こういう言葉がある。批判してもいい、罵倒してもいい。無反応にさえならなければ、その方が百倍いいのだ。
分かち合える世界に居たとしても、結局人は分かち合えなくなる。そんな気がする。自分だけの星に手を伸ばせ!

一人の出来損ないが云った。もうムリだよ。一人の賢者が云った。これからだよ。能力なんて大して変わらないし、どちらも出来損ないなのに。


自由詩 自己所有権 Copyright 陽向∮ 2015-08-11 15:08:57
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