連話 外側
木立 悟






はやにえ
しるべ
ひかりが開けた穴
いそいで




雨の肩書き
午後のおさがり
陽の水母に
別れを言う


溺れかけたのは
羽の子ども
空気の傷が
文字を降らせる


荒れ野 高らか
蒼を飛ぶ人
空の都
波を見ない灯


ぎしぎしと暮れた
径のとなりの径も隠れた
倒木の橋を下り
鉄板の橋を見上げる
山を越えるほどの高さの
撓みつづける橋を


蜘蛛のかたちの
無数の蜘蛛の巣が
白い壁を登ってゆく
空より高い雨が
音だけを降らせている


振る手 返す手
そよぐ空の火
背には焼けた羽のあと
片手で片目をふさぎあう
誰かと 誰かと


手のひらはひらき
指すことなく指してゆく
白い径を
隠れた径を





いそいで いそいで
誰もいない曲がり角が
言葉に満ちてしまう前に
すべてを貫き 立つものが
失くした名前を戴く前に
































自由詩 連話 外側 Copyright 木立 悟 2015-08-08 23:43:51
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