シャットダウン
凍月



電源ボタンを長押しする
携帯電話の電源を切った
見えない筈の乱雑な線までもが
空間を埋め尽くす想像・幻覚
電池まで外してかなぐり捨てる
    まだ足りない


街に出たら眼鏡を外す
他人の顔を滲ませる為に
顔が見えなきゃ疲れない
街に出たらイヤホン出して
耳に音楽をねじ込んで歩く
五感の二つをセーブして
それだけで随分楽になる
接続された二本のコード
それだけが
孤独な世界での命綱







だがそんなものは細過ぎた


人混みは苦手だ 疲れる疲れる 雑音が人工物が情報がヒトが 全てが多すぎる巨き過ぎる頭痛がスル 音量を上げろ限界まで上げろ アタマがイタいハキケがスル カットカット ブラックアウト 無理だ 扉を閉めろ鍵を掛けろ 無理だ 流れ込む流れ込む強力で混沌で膨大な が 耐えろ耐えろ 無理だ 耐えろ 絶やせ絶やせ 落とせ落とせ 意識を落とせシャットダウンが一発で出来るスイッチを探して躯中をくまなく掻き毟っても


自由詩 シャットダウン Copyright 凍月 2015-08-07 23:05:24
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