『詩作』
あおい満月

それは、
いつも見えない
激しくもゆるやかな
みなものような
風からはじまる。
それは、
いつもひとつの
あるいはおおくの
怒りからはじまる。
怒りは風にふれて
柔らかくなり
ふわふわと、
わたしのなかを漂い
指先にたどりついて
はじめて音になる。
音はやがて、
声をもとめて
窓をひらき、
同じように窓をひらいた
指とつながる。

この指のつながりが、
大きくなって、
ひとつになって
世界を超えるとき、
わたしは、
あなたという愛を知る。
この愛は、
憎しみに変わることのない魂。

※はじまりは、いつも暗いのです。

あの月の少女のことばは、
いくつもの足跡で汚された
この脳裏にしっかり生きている。
今日も見えないいくつもの風のなかで
ひとつの怒りがうまれ、
怒りは柔らかく流れていき、
音となって指先に降り、
声を探して旅をする。


※M・エンデ『はてしない物語』文中の月の姫
「おさなごころの君」(モンデンキント)の言葉。



自由詩 『詩作』 Copyright あおい満月 2015-08-07 06:07:36
notebook Home 戻る