雪月花
一筆

はらはらほろり
あのひとが帰る
肩に降り積む雪のひとひら
ついてゆきたい
それはできない
せめても帰路の足跡を埋めて
なかったことにしておくれ

夜半の月
鏡の中に白い顔
黒髪の雲に隠されて
流星のごとく雫が落ちる
願いをどうか叶えておくれ
想いはいつも間に合わぬ

窓の影
吐息の花をいくつ咲かせて
約束の人を待っている
あなたは来ない
はらはらほろり
雪にこぼれた花のひとひら
私もどうか埋めておくれ

はらはらほろり
音もなく


自由詩 雪月花 Copyright 一筆 2005-02-13 00:51:54
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