うそみたい
かの

うそをならべて
恋を楽しんだ
全部ほんものみたいににせもの
でも心は痛いし
ふわふわするし
それで目眩がして
でもそれが病みつきなの

深夜のファミレスでいつまでもしゃべっていたかった
寝なければわたしたちの今日は続くから
たまに会えない日が
たまに会える日になっていく
たまに合わない心が
たまに合う心になっていく

他のものに愛されようとしなくていい
けど
きみにだけ愛されなくちゃいけない

メアド何度もなぞってみちゃう
メアドのアルファベット何度も反芻しちゃう
ラインのIDだって気になっちゃう
きみがつけた名前のかけら
心の贅沢は人生のうちに何度できるだろう
だから体の贅沢だけはさせてあげたい
オロナミンCもヤクルトも
一日に何本も飲もう
だからきみもいっしょに飲もうよ

うそになるよ
って
どっかで知ってて
でもどっかの部分だけじゃ全然意味なくて
わたしだけふわふわしたまま倒れこむの
なんで?
って
聞きたいのに聞けない
知りたいのに聞けない
せめて暴言吐きたいのに吐けもしない
何も聞きたくないから
一方的に終わったとしても
うそにもなれちゃってて
ほんとのわたしは消えてるから

倒れこんでるわたしみたいなうそのわたし
誰もそのわたしを見つけられなくて
びっくりするんでしょう
「世界、みんな、死んじゃえ、」
「でも、わたしが、たぶん、死んじゃえ」
びっくりするでしょう
こんなふつうみたいに生きてるのに
ねえびっくりするでしょう


自由詩 うそみたい Copyright かの 2015-08-01 03:12:08
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